足早にエルザフはリヤド圏内のシルバ家の本領に帰って行った。
長男のアキザフに諸々の引継ぎを行った後もエルザフは、シルバ家のため、アジャール家のため戦場で働いた。
アルカルジを押さえているとはいえ、その周辺にはベイ軍寄りの拠点となる小さな士族
の城邑
が点在していて、アジャール家は火種を抱えたままである。
アキザフ、メルキザフを主将としシルバ家はアルカルジ近辺の平定に注力していた。エルザフの力が必要になる場面はまだいくらでも残っているのである。
「バラザフ、家は兄が継ぎましたがお前は己の力を得るのです。欲するという事はつまり志
なのです。未来を視過ぎて占いの結果に振り回されないように」
もはや子供でもあるまいのに、また同じ事をとバラザフは思ったが、これがバラザフへのエルザフからの遺言となった。
バラザフに二男ムザフ・シルバが生まれた。少し前、カーラム暦989年の事である。その物腰も含めムザフは、まるで祖父エルザフが転生してきたかのように、酷似してゆく事になる。
※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。
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【創作活動における、ご寄付・生活支援のお願い】
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アルカルジを押さえているとはいえ、その周辺にはベイ軍寄りの拠点となる小さな
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「バラザフ、家は兄が継ぎましたがお前は己の力を得るのです。欲するという事はつまり
もはや子供でもあるまいのに、また同じ事をとバラザフは思ったが、これがバラザフへのエルザフからの遺言となった。
バラザフに二男ムザフ・シルバが生まれた。少し前、カーラム暦989年の事である。その物腰も含めムザフは、まるで祖父エルザフが転生してきたかのように、酷似してゆく事になる。
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