それから一年経ったカーラム暦985年。エルザフの口からバラザフの縁談の話が出た。バラザフが初めて戦場に立ってからは三年が過ぎていた。
「アジャリア様から言われ気付いたのですが、近侍 のお前の仲間の中では嫁を娶っていないのはお前だけのようです。戦いに明け暮れるあまり、お前の縁談を世話できず父として申し訳ない事でした」
「私はまだ嫁など……」
「お前がそう言うだろうと、アジャリア様に先に手を打たれてしまいました」
「どういうことです?」
「アジャリア様の御夫人の侍女 に気が細やかな良き者がいるそうです」
「はぁ……」
「その者をアジャリア様がわざわざ養女にしてくれるそうです」
「それが?」
「その娘をアジャリア様がお前の嫁にという事で、つまりは断れぬ、という事です」
「はあ!?」
突然の縁談に戸惑うバラザフに、エルザフは淡々と話を進めた。
※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。
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「アジャリア様の御夫人の
「はぁ……」
「その者をアジャリア様がわざわざ養女にしてくれるそうです」
「それが?」
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