アジャール軍とベイ軍の最後の戦端が開かれようとしている。
「突き進め! 霧の向こうにアジャール軍が居る。矢も狙わなくて構わん。とにかくつがえて射よ!」
アジャール軍へ向けて霧の中から矢の雨が降り注いだ。矢に当たった兵達が次々と倒れてゆく。
――敵襲!!
伝令達はベイ軍襲来の報を持って陣を縦横無尽に駆けた。
「もうここまで来たというのか!」
突如、霧中より現れ出でたベイ軍の疾風達はアジャリアの心胆をも大いに揺らした。
「全軍、双頭蛇 の体系! 稲妻 に変形する間に陣を陥 されるぞ! 今の配置から決して動かず迎撃せよ! とにかくうろたえるでない!!」
バラザフは今、夢想の中に居た。自分が目の前の将兵達を指揮し、陣容を動かす指示をしている夢である。そこへベイ軍が奇襲をかけてきたのである。
一気に醒めさせられたバラザフは、両手に諸刃短剣 を握り締め、白き壁に向けて構えた。咄嗟でも意外に彼の頭の奥は怜悧に働き、宝物の方ではなく武器にして良い方の二本の諸刃短剣 を無意識に選んでいた。アジャリア本隊の周りには近侍 が配置されている。
「わしの傍を離れるなよ、バラザフ! うろたえるでない。他の者も打って出るなよ。とにかく自分の身を護るのだ!」
バラザフ達に命ずる大喝でアジャリアは周辺の大気を震わせた。ナウワーフや他の近侍 達、そしてバラザフも、戦いに臨む姿勢で各々の武器を構えている。
「突き進め! 霧の向こうにアジャール軍が居る。矢も狙わなくて構わん。とにかくつがえて射よ!」
アジャール軍へ向けて霧の中から矢の雨が降り注いだ。矢に当たった兵達が次々と倒れてゆく。
――敵襲!!
伝令達はベイ軍襲来の報を持って陣を縦横無尽に駆けた。
「もうここまで来たというのか!」
突如、霧中より現れ出でたベイ軍の疾風達はアジャリアの心胆をも大いに揺らした。
「全軍、
バラザフは今、夢想の中に居た。自分が目の前の将兵達を指揮し、陣容を動かす指示をしている夢である。そこへベイ軍が奇襲をかけてきたのである。
一気に醒めさせられたバラザフは、両手に
「わしの傍を離れるなよ、バラザフ! うろたえるでない。他の者も打って出るなよ。とにかく自分の身を護るのだ!」
バラザフ達に命ずる大喝でアジャリアは周辺の大気を震わせた。ナウワーフや他の
※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。
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