2019年1月17日木曜日

『アルハイラト・ジャンビア』第1章_21

 以前にバラザフはズヴィアドから陣容について教授された事があった。
双頭蛇ザッハーク。前後の兵が滑らかに稼動出来る。長く延びたこの体系は将兵が多いときに効果を発揮する。稲妻バラクの変種といえる」
――今のこれはズヴィアド様の言っていた双頭蛇ザッハークではないか。
 バラザフの脳内の過日のズヴィアドはさらに教授を続けた。
群飛雁イウザ。雁は群れで飛ぶ。その形がこの体系だ。双頭蛇ザッハークから群飛雁イウザへ、群飛雁イウザから大隊の稲妻バラクへと変形してゆく。さらにここから各所の先端を尖らせるように変形すると並列錐ミスカブになる」
 変形が進むにつれて違えに兵を配置している稲妻バラクの溝が深くなるという事である。
 そしてこれらは陣容の枢要と施用であり、上に立つ者の差配如何で明暗を別けるのだとズヴィアドは最後に念を押した。
 その枢要と施用が、今バラザフの目の前で驚くべき事に生きて動いている。バラザフは愉悦の中に居た。戦場での戦術的な将兵の動きを観ているのが愉しかった。自分が今それを愉しんでいるのだと自覚していないほど没入しきっていた。

※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。

次へ進む
https://karabiyaat.takikawar.com/2019/01/A-Jambiya1-22.html

【創作活動における、ご寄付・生活支援のお願い】
https://karabiyaat.takikawar.com/2019/01/kihu.html

前に戻る
https://karabiyaat.takikawar.com/2019/01/A-Jambiya1-20.html

『アルハイラト・ジャンビア』初回に戻る
https://karabiyaat.takikawar.com/2018/11/A-Jambiya11.html

0 件のコメント:

コメントを投稿