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2019年1月30日水曜日

『アルハイラト・ジャンビア』第2章_4

 カーラム暦972年。アジャリア・アジャールの下に、エルザフらシルバ家が置かれるようになり、四年が経った。酷暑が去り、月が明るく見える時期である。
 アジャール家とベイ家が激突する以前に、アジャリアのネフド侵攻に立ち塞がった男が居た。ハイルの街を拠点とするタラール・デアイエという猛将である。
 タラール・デアイエは二年前の戦いでアジャール軍を撃退しており、アジャリアにとってはタラール・デアイエを倒す事が最も重き課題であり、この時点では、ハイルの先のジャウフやアラーの攻略など望むべくもなかったのである。これに打ち克たんとアジャリアは、ハイル攻撃の軍を編成している。
 ハイルはネフド砂漠を取り巻く街の一つで、ダフナー砂漠にも接する。花崗岩の山に囲まれたこの盆地は、年間の雨量は少ないものの、一度雨が降ると、涸れ谷ワジは大きな土砂の流れとなり、水を吸った砂地は人や物を引きずりこむようになる。
 相対的な位置としては、カトゥマルとその母の家が拠点としているリヤドから西北西に、徒歩で二週間の場所にある。街を高い塀で囲み、塀に門を四ヶ所持つ。
 周囲には野生の駱駝ジャマルが生息しており、人が使う主要路を彼らがのんびりと横切っていく事も決して珍しい光景ではない。彼らにとっては人の世の戦など知った事ではないのである。
 二年前にアジャリアはタラール・デアイエのハイルに仕掛けたわけだが、先鋒にエルザフを抱えたアジャール軍ですら、ハイルの街の城壁の欠片すらも得る事はかなわなかった。無敵のアジャール軍を相手取るだけに、タラール・デアイエもただ猪突な人ではなく、一領主として恥ず事のない軍略も持っていた。
 タラール・デアイエの相手は南から攻めてくるアジャール軍ばかりではなく、近隣のバルナウィー軍との小競り合いも、今や日常茶飯事となっている。バルナウィー軍の拠点はカイド、或いはアルカイドと呼ばれ、ハイルのすぐ北に在る。
 アジャール軍側から見ても、デアイエ軍とバルナウィーの仲が良くないのは明らかで、今回もタラールが軍を率いて北に向かったので、またバルナウィー軍と一戦始めるつもりだろうと見て、その隙にハイルの街を奪取してやろうと目論んでいた。
 ところがである。アジャール軍がハイルを攻めにかかるや、タラールは部隊を反転させ、ハイルに舞い戻ってきた。そればかりか後ろに援軍としてバルナウィー軍まで連れて来ていたのである。

※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。

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