ハラドから一部隊がバラザフの部隊に合流しようとしている。その部隊を待つためバラザフは合流地点で進軍を止めた。
寒風はハラドにも来た。
「風が乾いておるな。水の補給に心を配らねば」
野心に燃えるアジャリアの身体は寒さなど受け付けぬらしく、悠然とアジャリア本隊を北へ進めた。クウェートの南、カフジという街が合流地点で、そこまで一週間程の行程である。カトゥマルの部隊もリヤドを進発した。
――レイス軍、バスラを包囲。
伝令からアジャリア本隊に情報が入れられた。
バスラはクウェートの北の大きな街である。本来、レイス軍のような小さな勢力に手に負える要所ではないのだが、サバーハの威が弱まっている事と、アジャール軍のお蔭で南から衝かれる心配が無い事とで、ファリドは大きく出たのである。
「まったく。意外と簡単にいけるではないか。こんな事ならさっさと取っておくべきだった」
そう言うファリドの中にはすでに、ファハド・サバーハ存命中に小さくなっていた自分は居なかった。
※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。
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【創作活動における、ご寄付・生活支援のお願い】
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「まったく。意外と簡単にいけるではないか。こんな事ならさっさと取っておくべきだった」
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