2019年8月5日月曜日

『アルハイラト・ジャンビア』第3章_8

 隠密タサルール を用いた「アジャリア効果」は、予想以上に高かった。サッタームの部隊の兵等の吶喊は天を衝いた。
 ――アジャリア・アジャールが来た!
 それだけで守備兵の手足は強張り、腰は引けた。どんな卑劣な手で謀殺されるか分ったものではない。
 圧倒的士気の差でカフジを陥落させたサッタームは、兵を分割してベルシャ湾を南下してそのまま二、三の城邑アルムドゥヌ を落としてある程度補給線を繋ぐ事が出来た。
 南下を続けた部隊はジュバイルの城邑アルムドゥヌ の攻撃に入った。サッタームの部隊に連動して移動していたバラザフは反対側に回り攻城に加わった。
 城壁の上に並ぶ守備兵を見てバラザフは、これまでと少し違う事に気付いた。弓兵の間に盾兵を配備している。こちらの弓隊からの攻撃から城内を守る狙いがあるようだ。
「レブザフ、投槍ビルムン を用意させろ」
「おお、使う場面が出てきたのですね」
「うむ。一つ思いついたから試してみたい」
 レブザフは、 荷隊カールヴァーン から投槍ビルムン を手配し、強肩の者を部隊から百名程選んで投槍ビルムン 隊を編成した。

※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。

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