2019年8月15日木曜日

『アルハイラト・ジャンビア』第3章_9

 城壁を一周投槍ビルムン 隊をで囲わせたバラザフは、槍を投げさせずに、まず、
「弓隊は城壁の盾兵を狙え!」
 と命じ、サッタームの部隊もこれに倣った。
 城壁の上では弓兵が一旦退き、盾兵がそれらを守るように、また城壁から矢の雨を中へ越えさせないように、盾を構え不動の姿勢で脚に力を入れている。
 矢の雨が悉く盾で弾かれ、味方に徒労感が漂い始めた時、
「よし。投槍ビルムン で盾を狙え!」
 と、投槍ビルムン 隊に指示が出た。
 強肩の投槍ビルムン 隊が助走をつけて投槍ビルムン を投げ始める。城壁の上では盾に鋭く尖った長柄の投槍ビルムン が突き刺さって兵が盾を動かせなくなっていた。先に弓兵によって射掛けられ、これを防ぐ癖を付けられた盾兵は、投槍ビルムン に対して敏捷に反応出来なくなっていたのである。
「弓兵、また出番だ。今度は敵の盾兵を避けて矢を流し込め!」
 矢の雨が降ってきた城内では混乱が起きていた。
「城内の兵に告ぐ! アジャール軍は手向かいせぬ者は傷つけない! 開門すれば血は一滴も流されぬであろう!」
 アジャリア効果で怯えていた所へ、矢の雨を食らってさらに恐慌した敵兵に内応する者が出て、ジュバイルの城邑アルムドゥヌ の門扉は開かれた。
「もはや抵抗は意味を成さぬ! 今、投降すれば助命は約束する!」
 城門の広場でバラザフは声を張り上げて叫んだ。

※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。

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