2019年1月8日火曜日

『アルハイラト・ジャンビア』第1章_12

 エドゥアルドが自分の指揮部隊に戻った後、鞘から抜いた諸刃短剣ジャンビアを両手に握り、振ってみた。自然と身体が動き、刃は軽く空を裂く。バラザフは両手で武器を持つこの戦闘体形が気に入った。
 が、いくら武器であるとはいえ、さすがにアジャリアとエドゥアルドから貰った諸刃短剣ジャンビアを血で穢すわけにもいかない。父に貰ったもう一つの諸刃短剣ジャンビアを握ってみる。父には申し訳ないが、これならば実戦で用いるのに勿体無いという事もなかろう。
 バラザフは配下の兵士を呼ぶと、
「済まないが、出撃までに急いで諸刃短剣ジャンビアを一本用意してきてくれ」
 と、金を渡して遣いに出した。
 父エルザフから与えられた物、アジャリアとエドゥアルドから下賜された物、そして父の物に対にするために自分で用意した物と、都合四本の諸刃短剣ジャンビアを帯びる事となり、バラザフの腰回りはすこぶる賑やかなものとなった。

※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。

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