クウェートからペルシャ湾沿いに南下して約一日。カフジという街に差し掛かった辺りで荷隊
に攻撃を仕掛けてくる部隊があった。メフメト軍の遊撃である。
寡兵で茂みに隠れ弓矢を射掛けてくる。どうやら主な編成はアサシンのようだ。
バラザフは荷隊
と騎馬兵を後ろに下げると、
「お前等、出番だぞ!」
そう叫んだ瞬間、こちらに弓引くメフメト軍の後方から、さらに矢の雨が降った。
「好機! 騎馬兵は前に出て敵を捕縛! 生死も問わぬ!」
色を失ったメフメト軍の遊撃隊は次々と騎馬兵に討ち取られ、早くも百人が物を言わぬ骸となって斃れた。バラザフ配下のアサシン団もすでにこの場から姿を消していた。
奇襲に巧く対応出来たバラザフの兵も、荷隊
にも死傷者は出なかった。無論、荷物も無事である。アジャリア軍の中で語られるシルバ家の奇譚がまた一つ増えた。
ヒジラートファディーアに戻ったバラザフは、バスラで会ったファリド・レイスという人物が気になって、札占術
で彼の未来を見てみた。アジャリアに騙されたのも含めてあまりに惨めであるが故に、逆に気を惹いたのである。
卓上で捲られた札は――
「皇帝
! まさかな……」
常にポアチャを頬張っている、あの風采の上がらない姿にバラザフはどうしても覇権を結びつける事が出来なかった。
※ この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。
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【創作活動における、ご寄付・生活支援のお願い】
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寡兵で茂みに隠れ弓矢を射掛けてくる。どうやら主な編成はアサシンのようだ。
バラザフは
「お前等、出番だぞ!」
そう叫んだ瞬間、こちらに弓引くメフメト軍の後方から、さらに矢の雨が降った。
「好機! 騎馬兵は前に出て敵を捕縛! 生死も問わぬ!」
色を失ったメフメト軍の遊撃隊は次々と騎馬兵に討ち取られ、早くも百人が物を言わぬ骸となって斃れた。バラザフ配下のアサシン団もすでにこの場から姿を消していた。
奇襲に巧く対応出来たバラザフの兵も、
ヒジラートファディーアに戻ったバラザフは、バスラで会ったファリド・レイスという人物が気になって、
卓上で捲られた札は――
「
常にポアチャを頬張っている、あの風采の上がらない姿にバラザフはどうしても覇権を結びつける事が出来なかった。
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